watashi no おすすめ映画 pt.2

青春映画(coming of age movies)の良さを考えてみた。

昔から青春をテーマにした映画にとても惹かれます。そういうラインで好きなのは"The perks of being a wallflower"、"20th Century women"、"Clueless"です。こういう映画の付き物である恋愛的な要素にトキメクのも楽しいが、なにより、肉眼で目にしたらキラキラしていなくてもレンズを通してアーティスティックに描かれる主人公の人生に共感したり、何か教訓のようなものを吸収したりする感覚が楽しい。素直に観ているときに楽しいなと思える映画っていいよね。色々考えさせられる映画もいいけど、私の思う映画の根源的な存在意義がある映画は大雑把な表現だけど「青春映画」だなあと感じます。

 

 

レディ・バード』/監督:グレタ・ガーウィグ

【予告】https://www.youtube.com/watch?v=yBJdLBn8d5k&pbjreload=10

 この映画は好きがいっぱいで紹介というよりただひたすら私のこの映画に対する想いを伝えるブログになりそうだ。

息が止まるほど胸がいっぱいになって気が付いたら涙出るぐらいドキドキする映画は『レディ・バード』ぐらいかなと思う。

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監督についてなんだけど、女優をしていて("20th Century women"にも出てる)監督になって初めて製作したのがこの映画。処女作でこれ。Mind blowingだ。 

自分自身このバイアスが若干根付いてしまっているのに嫌気がさすけど(not trying to make a statement here)

監督で成功するのはほとんど男性。映画祭などでの授賞式でも壇上でトロフィーを手に持ってスピーチをあげる制作者とかも男性の方がイメージが浮かびやすい。そういう傾向?があるからなのか私はメイキング映像とかで俳優陣に指示している監督さんとか見てもあまり惹かれはしなかった。なんか遠いような存在だから?うまく言えないけど

だけど、『レディ・バード』のメイキング映像を見て心臓止まったね。グレタかっこいい...なりたい...監督っていいな...同じ女性としてめっちゃ惚れました。

作品以上に、製作の経緯とか、グレタの作品に対する想いがとても好きでインタビューの記事色々を読んだ。

元々映画のタイトルは"Mother's and Daughter's"で350頁ぐらいあった脚本(上映するとしたら6時間かかるらしい)を120頁まで減らして"Lady Bird"が完成したらしい。

"Lady Bird"は主人公中心にストーリーが展開しているがあくまでも「母と娘の関係性」が核となっている。

このブログの最初にも書いたけどいわゆる青春映画には恋愛事情は付き物。この作品でも確かに主人公の恋愛事情は描かれてはいるが、グレタは

「恋愛を核にしなくても、少女の成長は描ける。本作には恋愛要素はあるが彼女(主人公)の人間性を描く上で重点は置かなかった」

と話している。その線引きは観ていてしっかりと感じ取れた。

「人間関係の中で、最も面白くて濃厚で複雑な関係。こんなにも面白い題材なのに、映画で語りつくされていない気がした」

そんなグレタの着眼点に感銘を受けたし、かつリアルに、親近感がわくような母親と娘の掛け合いを映画上で表してて本当に凄いなと思った。

何個かのシーンで度々主人公が母に対して悪気なくぽろっと出る言葉に「それは違うでしょ、配慮に欠けているよ」、「人生そう甘くないよ」と母が指摘する。指摘された主人公はチクリと何かが刺さるんだけど、それを無視して苛立ち含むレスポンスをする。当たり前に自分より人生経験がある母で言ってることは正論なのに反抗しちゃうクリスティンの気持ち。すごく共感。

 

何気ない台詞回しにグッとくるものがあるし、ユーモアにも溢れてて、norika_blue のブログにも書いてあったけどこの台詞たちを生み出したグレタは本当に天才。

norika_blue のこの映画についてのブログ、とっても好きなので観終わったら読んでほしい。のりの映画レビューはいい意味でバァーッとメモ帳に綴ったような純粋な感想が書いてあって、いい。

https://norikaeden.hatenadiary.com/entry/2019/03/16/110308

脱線してしまいましたが、

レディ・バード

ぜひ観て欲しい映画です。

 

 

 

 

 

〈追記〉 (mostly babbling, and spoiler alert!)

ティモシーいます。(はい。)

ティモシーが演じるカイル、あの謎っぽい不思議ボーイ感には惹かれるが、あの屑さ許せん!プロムに行くのにドアまで迎えに来ないし、花束もないし、自分の彼女が侮辱されてるのに擁護しないし...

わたくし完全ティモシーのファンなのですが、この映画ではルーカス・ヘッジズ演じるダニーが一番好きでした。

主人公がダニーにヘアローラーを貸して「なんか形がspermに似てるね」って冗談言ってるのにダニーにウットリしちゃって曖昧な返事しちゃって、変なこと言っちゃったかなってダニーが若干傷つくシーン。ダニーとキスできて主人公が帰り道に発狂しちゃうシーン。甘酸っぱくて可愛い。自分の好きな人とキスできて良い気分のままで居たいのに、家に帰って些細なことで母親に怒られる主人公。すごく感情移入したシーンだった。

二人がついに付き合って、草原で走って寝っ転がって星に自分たちで名前つけるシーン。メイキング映像にあったグレタディレクションの仕方も可愛かった笑

はいはい!そこでキスして!倒れて!もっかいキスして!って笑

 

主人公は素直なのに素直すぎる故?気に入られなきゃっていう純粋な気持ちで自分を偽ってしまうのが痛々しくもあり愛おしかった。タバコなんて吸ったことないのにカイルがよく吸ってるのを知って自分も昔から吸っていたとアピール、バンバン嘘つくやんって思ったけどね笑

あとカイルが最初に出てくるバンドでギター弾いて頭振ってるシーン、とてつもなくかっこい、あれは惚れます。

最後終わり方も素敵だよね。主人公が母に留守電入れてて、サクラメントを車で一人でドライブしたのを伝える。あの、二人を照らし合わせるようなカットの切り替え。二人の故郷に対する気持ちが伝わってくるような気がした、

高校を卒業して、やっと車の免許が取れて、行きたい都心の大学入学も決まって、冒頭の母との会話で言っていた「望んでいたもの」がようやく手に入った状態なのに、最後電話をかけている主人公の顔は少し悲しげだった。常套句だけど、失ってから気づくことって沢山ある。それを痛感してあの顔になったのかな、

 

長くなりましたが以上です。

自分が何回か観た映画を初めて観るであろう人におすすめするのって難しいね。

最後まで読んでくれてありがとう。